しゃれこうべ、床屋へ

まだ1300円だった。ラーメン屋ではなく、池袋の駅の近くの、もと1000円床屋。並んでたらやめようと思ったが、それほど混んでいないようだった。よし、今日やってしまおう(硬く決意)。階段を下りて行くと、2人が待っているだけだった。

番はすぐ来た。

「癌になっちゃって、なかなか生えてこないんで、丸刈りにしてください」とお兄さんに言った。

最短で0.8ミリでできるという。こんなこと初めてだ。よくわからないけど、お願いした。

真面目なのか、あまり話しかけてくるタイプではなかった。(ただ、怖がられてただけだったりして?まだ若いから、癌がなんのことなんてわかんないだろうし、こんな客は滅多に来ないだろうし)

癌治療後の禿頭に悩んでいた。一回目の治療の後は、半年もしたら、短髪が生えそろっていた。

なのに、二回目の治療後は、なかなか生えない。

最近うなじとエラの辺りが生えてきていたが、トップがまだつるつるなのだ。

典型的な親父の禿頭ではないか……。

やはり放射線治療のせいと思われる。

なかなか伸びてこない髪に業を煮やし、いっそ丸坊主にしてしまおうと思い立った。

「個人差あります。戻らない人もいますよ」

といった医者の言葉がよみがえる。

一度剃ってしまった方が、生えてきた時、濃く見えるのではないか(←私の希望的観測)?

恍惚のペンコ

初めて、バリカンなるものを使ってもらった。暖かくて気持ちよかった。まるで優しい頭皮マッサージのようだった。

バリカンの種類を何種類か変えて刈っていった。意外と手が込んでいる。「暖かくて、気持ちいいですね」と言ったけれど反応がなかった。毛の塊が、たまにごそっと落ちていった。

うつらうつらしているうちに終わっていた。

「暖かくて、気持ちいいので、癖になりそう」と言おうかと思ったけど、やめておいた。

最後にちょこちょこ残っていた毛も刈ってくれた。

鏡には尼さんが映っていた。大酒のみの尼さんが(笑)。

剃っただけでは、シャーリーズ・セロンにはなれなかった。

夢が大きすぎたみたい(笑)